労働者災害補償保険法
第15条 障害補償給付 加重障害
Q:質問内容 「障害補償一時金の支給を受けた労働者について,その傷病が再発し,治ゆしたが,同一の部位の障害の程度が障害等級第7級以上に該当することとなった場合には,障害補償年金が支給されることとなるが,加重の扱いとなるため・・・」とありますが,新たな業務上の負傷・疾病ではなく,再発で加重になるのがわかりません。
障害補償一時金の支給を受けた時点では,治ゆしていて,何の要因もなく,再発というのは,自然的経過にはあたらないのでしょうか。
違いが理解できず,一時金支給→症状悪化7級以上→自然経過なので,改定対象外と,問題が出てくるたびに間違えます。
A:お答えします
「自然的な経過」とは,例えば,業務災害により左腕の肘を複雑骨折し,治ゆした後,肘関節が120度までしか伸びなくなっていた労働者について,その後自然的な経過によりその症状が徐々に悪化し,90度までしか伸びなくなったというような場合,これを「自然的な経過による障害の程度の変更」といいます。このケースでは,もとの障害が第8級以下の障害補償一時金であった場合,自然的な経過によりその症状が重くなったとしても,重くなった後の障害に基づく障害補償給付は支給されません。
これは,いったん治ゆと診断され障害の程度について認定が行われ,その認定に基づき障害補償一時金が支払われた時点で,事業主の補償義務が満了したからと考えられます。これとは反対に,障害補償年金となると補償義務は残っていますので,その後に障害の程度に自然的な経過による変更があった場合,変更後の障害に基づく障害補償給付が支給されることになります。
これに対して,再発は,自然的な経過とどう違うのでしょうか?再発の場合は,その時点で「治ゆ」の状態ではなくなります。したがって,障害補償給付に関しては,受給権は消滅することになります。改めて,療養補償給付,休業補償給付が支給されることになり,その後「再治ゆ」し,再び障害認定が行われ,その認定に基づく障害補償給付が支給されることになります。「再発」の場合の療養は,その原因が業務災害にあるのですから,その療養に要する費用を労災保険で負担するのが当然でしょう。自費や健康保険法で負担するのはおかしなことになります。そうすると,当初の障害が第8級以下で障害補償一時金であったとしても,その傷病が再発して再び療養が必要となった場合は,療養補償給付が支給されることになります。また,その療養のため労働することができずに賃金を受けることができなければ休業補償給付も支給されることになり,その後再治ゆしたときは,その障害の程度に応じて障害補償給付が支給されることになります。ただし,この場合,再発前の障害が第10級で再発後の再治ゆ時の障害が第8級であった場合,再発前の時点で第10級として給付基礎日額の302日分を支給していますので,再治ゆ後に第8級分の503日分をそのまま支給するのはおかしいですから加重と同じようにその差額の201日分のみを支給することにしています。
つまり,「自然的な経過」の場合は,「治ゆ」の状態にあることには変わりありませんので,療養補償給付や休業補償給付が支給されることはありません。
これに対して「再発」の場合,「治ゆの状態ではない」状態になったことを意味しますから,療養補償給付や休業補償給付が支給され,その後「再治ゆ」の状態になった時点で再度障害認定が行われることになります。
あまり,深く考えすぎると混乱してしまいますから,ごくごく単純に考えてみて下さい。
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