労働者災害補償保険法
第14条 休業補償給付 一部労働の休業補償給付
Q:質問内容
休業補償給付の支給要件で,療養のため労働することができないというのが要件となっていますが,実際には一部労働した場合でも支給されるのが疑問です。労働することができないのは一日全てというわけではなく一部でも労働不能なら療養のため労働することができないと解釈するのでしょうか。
A:お答えします 少し法律の性格を考えてみましょう。
労災保険法は,労働基準法上の使用者の災害補償義務を緩和するために設けられたものです。つまり,業務災害で負傷した労働者がその療養のため休業した場合には,1日につき平均賃金の100分の60に相当する額の休業補償を行う必要がありますが,これをその傷病が治ゆするまで行うとなると非常に大変ですし,その傷病が治ゆしたときに障害が残った場合に障害補償や死亡してしまった場合に遺族補償を行うとなると,中小零細企業ではその補償費が払えないというようなことにもなります。そうなると被災者は泣き寝入りせざるを得ず,また,使用者も多額の補償費を支払った場合には,その企業を潰さなければならないというようなことにもなりかねません。
そこで,保険料を事業主が全額負担するという特殊な労災保険制度を制定したというわけです。
では,労働者が業務災害で負傷し,その療養のため休業したとします。平均賃金相当額は8,000円だとしますね。
当初1日完全に休業していましたが,徐々に回復して,現在,通院しながら勤務しています。病院の関係で,午前中3時間事業場内で軽い業務に従事し,午後は通院のために休業しています。午前中の3時間の労働に対して3,000円の賃金が支払われましたが,ご質問者だったらこれで納得しますか?
1日休業していたときは,8,000円×60%=4,800円支給されていました。実際は20%休業特別支給金が支給されますから8,000円×20%=1,600円が加算され,合計では6,400円が支給されていたのですが,回復して,午前中だけ働いて午後通院のため休業している場合に休業補償給付及び休業特別支給金を支給しないとなると,3時間分の賃金である3,000円だけになってしまいます。これでは無理に会社に出てこない方が得になってしまいますね。
当然,けがの原因が事業主責任ということになれば,その被災者は残りの5,000円相当については民事損害賠償を請求することになるでしょう。これでは,事業主が困ります。
したがって,労災保険の休業補償給付に関しては,1日のうち一部について労働した場合でもその差額部分の100分の60について支給するということにしています。休業特別支給金についても差額部分の20%について支給することにしています。
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