労働基準法
第76条 休業補償 休業中の賃金の取扱い
Q:質問内容
テキストP64「通6」に「業務上の負傷により休業している労働者に支払われる休業補償は賃金とはみなさない」とありますが,P81「通4」では,「休業手当は,賃金に該当する」との記載があります。この休業補償と休業手当は,支給事由について要件が異なるのでしょうか。
A:お答えします
休業補償の要件をしっかり確認して下さい。テキストP218にあります。
| 条 文 |
項 目 |
要 件 |
金 額 |
| 法第76条 |
休業補償
P218 |
業務上の傷病による療養のため賃金を受けない場合 |
平均賃金の100分の60 |
| 法第26条 |
休業手当
P80 |
使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合 |
平均賃金の100分の60
以上 |
以上のように,それぞれの支給要件は全く違います。
「休業補償」は,「業務災害により傷病にかかり,その療養のために労働することができない」場合に,「償い(損害賠償)」として支給するものであり,労働の対価として支給するものではありませんから「賃金」ではありません。単に休業したから支払うというものではありません。なお,テキストP218にありますように,「災害補償」に関しては,使用者の「無過失損害賠償責任」の考え方がとられていますので,仕事中の傷病に関しては,使用者側に過失がなくても損害賠償を支払うことを義務づけていることから,支払金額は「平均賃金の100分の60」としています。労働基準法は最低基準を定める法律ですから,支払いが強制されるのは「平均賃金の100分の60」ですが,使用者側に過失があった場合,民事訴訟などでそれ以上を請求されることも想定されますから,使用者側はあらかじめ「平均賃金の100分の60を超える金額」を支払うこともあります。ただし,当然に,この支払金額は「損害賠償」であり,労働の対価ではありませんから「賃金」には該当しません。
一方,「休業手当」は,使用者責任により,会社が休業状態となり,労働力の提供ができなくなった場合に支払義務が生ずるものです。通常は,労働力の提供を行い,その対価として賃金の支払いを受けることになるのですが,使用者側の責任により労働力の提供を一方的に拒否される事態が生じた場合,労働者側がさぼったわけではないので,賃金を支払いなさいということです。この場合,労働基準法は最低基準を定める法律ですから,労働者が最低生活を営めるように少なくとも平均賃金の100分の60(できればそれ以上)を支払いなさいとしているものです。この休業手当は「賃金」に該当します。
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